狂気従容

軍事、歴史、宗教などを語ります。

安倍政権とスキャンダル(第一次安倍内閣の頃)

WikiLeaksに流出したアメリカ外交公電は、創価学会公明党に限らず、2006~2010年初頭の日本政治情勢を考える上で非常に有用な資料です。創価学会公明党に直接は関係の無い、思いがけない発見に出会ったりします。

 

紹介したいのは以下の外交公電です。

ABE FACES YET ANOTHER CABINET SCANDAL AND RESIGNATION
(安倍は更にもう一人の閣僚スキャンダルと辞任に直面する)
https://wikileaks.org/plusd/cables/06TOKYO7179_a.html

機密区分はConfidential。公電作成日は2006年12月28日。

 

内容は、第1次安部内閣の閣僚不祥事とその辞任劇を伝えるものです。佐田玄一郎 内閣府特命担当大臣(当時)の政治資金問題による辞任と本間正明 政府税制調査会会長(当時)の辞任を伝えた後、更にもう1人の閣僚スキャンダル・辞任劇がありそうだ……と言う内容の公電です。

 

公電は3つのパラグラフから構成されており、最初のパラグラフでは佐田氏および本間氏の辞任劇に関して、2番目のパラグラフでは佐田氏の後任である渡辺喜美議員について記述されています。

 

私が紹介したいのは最後の3番目の部分、「更にもう1人の閣僚スキャンダル・辞任劇」についてです。以下、該当箇所を引用し、翻訳文を掲載します。

 

3. Additional scandals may come to light in the coming weeks, according to multiple Embassy media interlocutors. Several political reporters predict that Chief Cabinet Secretary Yasuhisa Shiozaki could be hit by a series of scandals early in the new year. Two weekly magazines (Bunshun and Shincho) are reportedly preparing to report on a sexual harassment lawsuit filed by female campaign workers in Shiozaki's home district of Ehime. These reports could be followed by stories on a widely talked about affair Shiozaki is having with the NHK's Kantei correspondent. The reporters predicted the revelations will lead to Shiozaki's resignation. If accurate, it could lead to additional problems for the Abe Administration.

複数の大使館が接触するメディア関係者によると、さらなるスキャンダルが数週間以内に明らかにされるかもしれない。幾人かの政治記者は、内閣官房長官塩崎恭久議員が新年の早い時期に、一連のスキャンダルに見舞われうると予測している。伝えられるところによれば、2つの週刊誌(文春と新潮)が、塩崎議員の地元選挙区愛媛における女性運動員のセクハラ訴訟を記事にする準備をしている。それらの記事の後には、塩崎議員がNHK官邸特派員と関係をもっているという広く噂されているストーリーが続く可能性がある。記者達は、(塩崎議員に対する)それら暴露は塩崎議員の辞任(辞職)を引き起こすだろうと予測している。もし(予測が)正確ならば、それは安倍政権にたいして更なる問題を引き起こすことになるだろう。

 

Embassy media interlocutorというのは、アメリカ大使館が接触しているマスコミ関係者のことと思われますが(会社指示なのか個人的なお小遣い稼ぎなのかは不明)、政権内部のスキャンダルが外交公電に掲載されているのは興味深い。まぁ、スキャンダルそのものでなくて、現政権の寿命を気にかけているのでしょうが。

 

当事内閣官房長官だった塩崎恭久議員。公電に記載されているスキャンダルの内容が事実なのかどうかは調べようがありません。ただ、複数のマスコミ関係者がアメリカ大使館相手に与太話をするとは考え辛いので(信用第一……などと生温いポジションではあるまい)、それなりの確度はあるのかなと思ったりします(具体的な週刊誌の名前まであげている)。

 

ところが塩崎議員のスキャンダル、どうも公表されることは無かったようですね。インターネットで調べた限り、文春も新潮も記事にしていません。何故か塩崎議員のスキャンダルは報道されませんでした。

 

そこには様々な理由が介在しうると思います。塩崎議員のスキャンダル自体がデマだったという可能性もあります。

 

ただまぁ、紹介した塩崎議員のスキャンダルはアメリカ外交公電に記載されるレベルの話です。それが報道されなかった。飛ばし記事も出すことで有名な週刊誌(マスコミ関与の名誉棄損事件の大半は週刊誌ではないですかね)、大手メディアに比べ際どいネタが売りの週刊誌、それが記事にしなかった。

 

塩崎議員は第1次安部内閣では内閣官房長官を務めましたが、第1次安部内閣(改造)では入閣していません(与謝野馨議員が内閣官房長官に就任)。元々、塩崎議員の入閣は安倍総理の意向(盟友だったそうな)が強かったそうですが……

 

私は公電を読んだ時、政治権力の報道への介入あるいはマスメディアの忖度というものを垣間見た気がしました。映画・小説ばりに海外大使館に出入りするマスコミ関係者がいて、大きなスキャンダルがあって、それが潰されて……

 

NHKの官邸特派員で安倍政権に近かった女性記者と言えば……I氏のことでしょうか。安倍元総理の盟友、塩崎議員とI記者が不倫関係にあったというのならばかなりのスキャンダルだと思うのですが……本当の話ならば、「事実は小説よりも奇なり」を地で行きますね。

 

最近、菅政権の雲行きが怪しくなってきましたが、メディアの当たり方に、どうにも既視感があります。桜の会問題とかもね。