狂気従容

軍事、歴史、宗教などを語ります。

感覚の違いを乗り越えるのは難しい

私の職場で異性経験がないのは、多分私だけだ。全社員に聞いて回ったわけではないが、わたしのオフィスのある階層(20人程度)では、私だけだと思う。基本既婚者か恋人がおる。

 

だから何だよって話だが、非モテや異性交遊の少なさを嘆いているわけではない(多少は嘆いているんだが)。話を理解できない。勿論共感もできない。話を合わせることに労力を要する。それを嘆いている。まぁ、ようは疲れる。

 

家族、子供、イベント、知らんがなって話に、適当に「あーそうなんですね」ってへりくだりながら話を聞くこと。正直、だるい。30歳も過ぎると、自分はあなたの下位互換だと示していれば、余程性格の悪い奴以外、余計なちょっかいは出してこない。だからトラブルにはならないが、だるい。

 

私はもう、生涯未婚であることとか、異性に縁がないこととか、仮に他人に馬鹿にされても何とも思わないだろう。いや、少しは頭にくるかもしれないが、わが人生を振り返って思案すると、そんな些細な問題にやれるようならば、とっくに自殺していただろうと、納得してしまう。

 

まともに人を愛する感覚がないので、そもそも、相手の話をイメージできない。普通の家族も知らないので、相手の会話の背後にあるもの、文脈というか、そこからでてくる味や匂いが分からない。

 

味覚障碍者に、食べ歩きの体験談を聞かせるようなものだろう。情報として知ってはいるが、共感は出来ない状態。「美味しい」がわからないのに、「それは美味しそうですね」って会話を返す状態。

 

職場での人間関係を(つまり給料のもらい易さを)壊したくないので、適当に話を聞いているが、あともう少し年を取れば、ポジション的に難しくなるだろう。

 

今はまだ30代半ばってことで、年上の人生経験を聞いて、「大変なんですね」って態度を示していれば何とかなるが、40過ぎるとどうなるんだろう。そういう話題は振ってこなくなるのかな。

 

まぁ、ストレス少なく給料をもらえれば、誰とも会話しなくとも全く困らないわけだが、手段として必要なので困ったものだ。

 

職場の人達が嫌いって訳ではないので(人柄の良さでいえば、おそらく今まで経験した職場で最上位な場所)、極端に苦痛ではないし、彼等に何の敵意も憎しみもない。むしろ、仕事上よくアドバイスをもらうので、感謝している。

 

ただ時々、異世界にいるような感覚を味わう。この人達と同じ世界を生きていないと。「いっそ本当に違う世界に行くか」と思うこともあるが、まだ理性を保っている。

 

無駄な人生だったが、本当に無駄なのは、思ってもいない会話を続けることかもしれない。職場においては、生活(カネ)がかかっているので、そうも言っていられないが。

 

何より、思っていることを声にすると、私は会話を続けられない可能性があるので(相手との関係が閉じる)、職場では難しい。プライベートでは、そもそも話す相手が居ないな。

 

これと言ってオチもないのだが、結論付けるとアレだね、思想や意見の違いは乗り越えられるかもしれないが、感覚の違いを乗り越えるのは難しいってことだ。