狂気従容

軍事、歴史、宗教などを語ります。

国民の1%が自殺する国、日本

コロナ禍による自殺者数の増加を調べていて気が付いたのだが、この国おいては、国民の1%が自殺する。そういう状態が、70年以上続いている。

 

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/h28h-1-01.pdf

 

上記リンク先にある厚生労働省の調査結果には、S22年(1947年)からH26年(2014年)までの自殺者数の長期推移が掲載されているが、自殺者数は毎年1万人以上であることが確認できる。また1980年以降は、毎年2万人以上の自殺者が記録されている。

 

一方、下記リンク先にある厚生労働省の人口動態の年次推移では、S22年(1947年)からR01年(2019年)までの年間死者数が確認できる。それによると、1948年から2002年までの間は、年間死亡者数が100万人以下であることが確認できる(例外は1947年だけ)。

 

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/04_h2-1.pdf

 

2003年以降は、年間死亡者数が100万人を超え、2019年においては過去最高値である約138万人を記録している。

 

これは、1948年以降この国においては、死亡原因の1%以上を自殺が占めてきたことを意味する(自殺者数/その年に亡くなった方>1%)。その状態が70年以上継続している。人間は必ず死ぬ生き物なので、この国においては、国民の1%は自殺するということになる。

 

中々に恐ろしい話である。私の小中学校は、1学年100人くらいだったので、同級生の内誰か1人は自殺する計算になる。私が知らないだけで、もう既に亡くなっている可能性もあるが。

 

驚いたのは、状況が悪化していると思われるコロナ禍の現在よりも、1980年代の方が自殺者数が多いことだ。バブル崩壊後の10年間程度(戦後最多の自殺者数を記録したのは2003年)は、不況の影響があったのかなと推測しやすいが、1980年代、今に比べれば景気が良かっただろう時代に、今よりも多い自殺者数を記録しているのは不思議である。

 

理由は様々あったのだろうが、1980年代と言えば好景気なイメージでしかなかったので、現在よりも自殺者数が多いというのは私の中では合点がいかない(いずれ調べてみたい)。

 

社会全体は上向きでも、特定の条件が重なった人だけが狙い撃ちにあう形で苦しんだのかもしれない。これは現在においても当てはまるが、社会全体で低~中程度のリスクを負う場合と、一部の人だけが高リスクを負う社会では、現れる統計データは異なってくるものだ。

 

1986年の自殺者数は、25,667人。1986年にこの国で亡くなった方の総数が、750,620人なので、1986年にこの国で亡くなった方の約3.4%が自殺によるものである。2019年にこの国で亡くなった方の総数が、1,381,093人。下記の警視庁の統計データによれば(厚生労働省警察庁では自殺者数が若干異なるが)、2019年の自殺者数は20,169人。割合にして約1.5%。

 

出典:警察庁ホームページ(令和元年中における自殺の状況)
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R02/R01_jisatuno_joukyou.pdf

 

2020年の自殺者数は21,081人だが、おそらく、「自殺者数/その年に亡くなった方」 の割合は、2019年と似たような数字になるだろう。

 

出典:警察庁ホームページ(令和2年中における自殺の状況)
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R03/R02_jisatuno_joukyou.pdf

 

人口構成のアンバランスさと高齢化により、死者数そのものが増加しているので(団塊世代が亡くなるまで増え続ける予測)、「自殺者数/その年に亡くなった方」の割合は今後も低下していくと思われるが、自殺者数が劇的に改善されない限り、国民の1%が自殺する社会が今後も継続していくと推測できる。中々に狂気だと思う。

 

各国との比較の中で整理してみないとわからない部分も多いともうが、国民の1%が自殺する社会を70年やってきたというのは、衝撃だった。1%の確率で自殺するクジ引きをやっているようなものだ。私は割と「アタリ」を引きやすいと自覚している。気を付けたい。