狂気従容

軍事、歴史、宗教などを語ります。

結婚とか労働とか弱者男性とか(ほぼ雑談)

男女別の年収と未婚率の関係を見れば分かるが、男は稼げない=独身。年収と未婚率に割ときれいな比例関係がある。女性は違う。本人の意思は別にして、女性は経済弱者でも結婚して養ってもらうという救済手段がある。男性の場合はない。公的福祉も貧弱なら、地域のコミュニティも死にかけ(そしてメリット少ない)なんで、経済弱者=生存問題となる。

 

私の考えを記述しておくと「生き延びる為だけに結婚して数十年間生活を共にする」という選択が気安く選べるものだとは思っていない。とにかく生き延びるための手段があるかないかの話。生存ルートの有無を確認している。

 

そもそも論で「就業における男女差別が年収差を構築しているのでは?」という疑問もあるが、これは数字をしっかり見てみないと分からない(まぁ現状はあるだろうな)。だけどそれ以前に、仮に男女平等の就業を実現できたとして、女性の産休や男性の育休を不足なくキャリアペナルティなく運用できるだけの企業がどれほどあるのだろうか。弊社は厳しいだろうな。

 

男女の、つまりジェンダーの問題という部分もさることながら、我が国の労働環境の劣悪さが根本問題なのではないかと思う。例えば日本女性の10%くらいが結婚、出産を放棄し、労働に人生を全振りしたとする。果たしてそれに見合うだけの報酬を提供できるだろうか。職場競争で男性を蹴落としたとして、企業の方に増加した女性労働力にペイするだけの体力あるの?って話。

 

誰が弱者かっていう議論とか、男女差別(ジェンダーの問題)に関して、もちろん話を進めていく必要はあると思うのだけど、仮にそれ等が整ったとして、ある程度解消の目途が付いたとして、運用できるかどうか。おそらく日本企業の体力勝負になるだろうなと思うのだが、それは可能なのか。男女の強弱以前に、男女平等を実現したとして今の日本でそれを運用できる余裕はあるのだろうか。おそらく厳しいだろう。外国人労働者の問題とか見るに、到底無理と言えるかもしれない。

 

コロナ禍での女性自殺率の増加(特に若年層)は、未婚で低収入な女性の生存の難しさを表しているように思う。自殺の原因が経済苦に限定されることは無いだろうが、人数はともかく(日本に限らず自殺者は基本男の方が多い)、自殺者の増加は不安定な雇用環境にさらされている女性の危機を反映しているだろう。諸般の事情で結婚しない(出来ない)場合、女性はセーフティネットを失うと。

 

高収入な女性は未婚率が上昇するというデータは有名だけど、経済的に自由になった女性にとって、結婚は魅力的に見えないのだろうか。良く分からない。仕事が忙しすぎて結婚の余裕がなくなるのかもしれない。また経済的に自由になって初めて、結婚という選択を「生存ルートの確保」という観点以外から評価可能になるのかもしれない。

 

年収と一口に言っても、労働時間や勤務形態が様々なのは明らかで、ワークライフバランスという観点からの評価も必要だろう(年収と幸福度の比較)。仮に女性が経済的に自立可能だと言っても、年収500万だけど残業まみれの独身生活と、年収250万(キャリアを築けない)+子育・家事の生活だけど基本定時近くで帰れるよって選択肢、どちらを選ぶかといえば中々判断難しいだろう(どちらを選ぶのも自由だと思います)。この場合においても、根本問題(議論の中心にすべき)は労働環境の厳しさであって、「女性は結婚して仕事で楽できる」では決してない。男性が「年収500万で残業まみれの独身生活」を喜んでいるとは思えない。年収500万で時間にそこそこ余裕があって、結婚したら家事・育児に時間をさける(キャリアへのハンデは無し)。男女に関係なく、そういう労働環境を用意できるのか?という話。

 

男性の場合はどうだろう。平成前期または昭和後期の最盛期に比べ、男性の平均年収(中央値も)は下降傾向なので、共働き(生存ルートの拡大)という観点を含んだ結婚は増加したと思う。派生して話すが、男の稼ぎが減少したがために女性も経済力をつける必要性に迫られているという部分もあるだろう。データを探せば、男女が結婚に何を求めているのか?というのはある程度判断できる。

 

男性は自己の生存に結婚が必需品では無い(むしろリスクになることもある)にもかかわらず、それでも結婚する。それが子孫を繁栄させたいからなのか、若き日の性欲なのか、老後の備えなのか、伴侶の愛が欲しいからなのかは人によるだろう。まぁ統計データは解析できたとしても、心情としては私にはわからない。きっと永遠に分からないだろう。

 

これまた私の独断によるが、仕事での成功のしやすさと、異性関係の豊かさは相関があると思う。現代のルールにおいては、仕事で上手く人は結婚も容易。はっきり言えば、物心両面における生まれ育ちの豊かさがモロに影響している。個人の努力でカバーできる部分が減少している。社会が下り坂(新しいパイが減っている)なので仕方無いのかもしれない(既存のパイを奪い合う=最初のポジションに左右される)。金は無いけどモテる人、高収入だけど異性経験少ない人、減っていると思う。独身者も、独身貴族って言えるほど貴族していない。良くて独身武士だ(いつでも戦死できるね!)。

 

結婚・出産が無いとなると、社会性の装飾というか、オーソリティの確保という観点で、労働(収入)以外に道が無いのかもしれない。心の豊かさという点では、趣味が癒してくれるだろうが。同じ年収ならば、家族持ちと独身者どちらに信用や社会的な権威が付くか。自明だ。家族持ちに決まっている。

 

もうちっと数字を見て行けば、弱者男性というのは、経済性、異性関係、同性との交友、家族関係、その全てにおいて劣勢になりがち(ようは全部だめだから弱者になる)。女性の場合も基本は同じだが、経済性の劣位は結婚によって多少回避できる可能性を残している。どちらにしろ劣悪な労働環境がネックになっているし、差別の固定化はもはや不可逆的……というのが判断できる気がする。

 

ほぼ雑談。この話、また書きたい。