狂気従容

軍事、歴史、宗教などを語ります。

アメリカ創価学会の衰退

前に、日本の創価学会組織が衰退傾向にあることを記事にしました。

 

kyouki-shouyou.hatenablog.com

 

では、海外組織(SGI)は実態としてどうなのでしょう。会員数が頭打ちの日本と違って、進捗傾向にあるのでしょうか?それとも停滞しているのでしょうか?

 

実際の会員数が情報として流れてくることは殆ど無いので、噂話はともかく、現実的なSGIメンバーの趨勢を把握している方は少ないのではないかと思います。

 

1976年、聖教新聞社から国際センター事務局長の細谷昭氏名義で発刊された書籍に「世界の宗教 日蓮正宗創価学会」というものがあります(細谷氏はその後副会長になりましたが、現在の動向は分かりません)。

 

「世界の宗教 日蓮正宗創価学会」には、当時の海外メンバーの人数が国別に幾つか記載されています。具体的なメンバーの数が記載されるのは近年では珍しくなりましたが、気前よく数字が記述されています。

 

そこでは、NSA(日蓮正宗創価学会アカデミー)、今でいうところのSGI-USAのメンバーが約23万人とされています。

 

1976年当時の23万人という数字がこの40年間でどう変化したのか。アメリカでの例に過ぎませんが、海外における創価学会組織の動向を考える上で一つの指標になるかと思います。

 

1976年と比較するために、現在のSGI-USAの会員数がどの程度なのか様々調べてみましたが、創価学会のHP等からは、信頼できる数字を発見することは出来ませんでした。

 

そこで何かヒントになるような文章は無いかと探していたところ、以下の文章を発見しました。
http://www.iop.or.jp/Documents/0010/machacek.pdf

 

リンク先アドレスからも分かるように、東洋哲学研究所の英語版HPが親元となっています。調べたところ、David W. Machacekという宗教研究者の方が行った講演内容を、Journal of Oriental Studies(東洋学術研究)という東洋哲学研究所が発行している研究誌に掲載したものでした(掲載年は2000年)。

 

探したところ、日本語翻訳版もありましたので、以下リンクを貼り付けておきます。
http://www.totetu.org/assets/media/paper/t145_168.pdf

 

Machacek氏の調査によれば、アメリカにおける活動家メンバーの数は約3万6000人だそうです(学会出版物を予約購読している人数と、調査回答者の世帯あたりの平均人数を基に計算しているそうです)。

 

東洋哲学研究所発行の雑誌に掲載されているので、信頼のおける数字(少なくとも学会側が大きく否定できない)であると考えてよいかと思います。敵対他宗や、週刊誌が報じている内容ではありません。

 

この講演内容が雑誌に掲載されたのが2000年なので、調査結果は2000年付近の数字だと思いますが、1976年の23万人から大幅にその数を減らしています。1976年当時の15%にまでメンバーが減少しています。

 

アメリカにおける創価学会員は、25年の間に嘗ての15%にまで数を減らしているようです。余り活動的でない会員や、多目的な会員(他宗との掛け持ちだろうか?) 、入会したての会員は3万6000人の中にカウントされていないそうですが、それでも驚くべき減少です (文章では、SGI-USAメンバーは現在も増加しつつあると推定されていますが) 。

 

以前、噂話程度で、SGI-USAが大きく会員数を減らしていると聞いたことがありましたが、ここまで酷い状況になっていたとは思いませんでした。

 

文章の中には「アメリSGIは発展と衰退のサイクルを経験して、長期にわたる発展が長期にわたる衰退より勝っていた」とありますが、一度大きく発展し、その後大きく衰退したと考える方が自然です。

 

恐らく、二度にわたる宗創問題に関連して現地で何かあったのでしょう。1976年に報告されている23万人が水増しされていた可能性も勿論ありますが、それにしても余りに大規模な後退劇です。

 

2000年から20年ほど経ちましたが、23万人の規模(1976年の状態)に回復しているとは考え辛いです。宗教的無関心が増えるアメリカで、20年間で3万6000人から5倍以上の拡大を達成するのはかなりの困難が予測されます。